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 昨年1月、オペラ座のトップダンサー5名により初公演が行われたル・グラン・ガラ。ジョルジオ・マンチーニ創作による『トリスタンとイゾルデ』と『ヴィーゼンドンク組曲』という日本初演の2作品で構成された珠玉のプログラムは、ダンサーたちから日本のバレエファンへのとても美しい贈り物だった。

 今夏、新たに3名を加え、よりパワーと魅惑に溢れるル・グラン・ガラ2019が開催される。世界中バレエ・カンパニーは数あれど、その王者たる存在がパリ・オペラ座。フレンチ・エレガンスを武器に、その華麗なる舞台を支えている芸術的にも技術的にも卓越した8名のダンサーたちが日本に集まって、世界でも類を見ないユニークで魅力的な公演を行うのだ。

 プログラムは2つ。Aプロはクラシック作品を中心に、ネオ・クラシックとコンテンポラリーがバランスよく散りばめられている。10作品中、3作品がルドルフ・ヌレエフの振付。複雑なステップの連続という超技巧を要求されながらも、オペラ座のダンサーたちが 詩情豊かに踊る姿を生のステージでみることのできる幸せ !  また、パリでは長らく踊られていないローラン・プティの作品『プルースト〜失われた時を求めて』からも、見応えのある2場面がプログラム入りしている。半角半睡の時間の男女のパ・ド・ドゥ、そしてチェロとピアノが奏でるエレジーにのせて闘う天使と黒天使のパ・ド・ドゥだ。これらにフォーサイスとプレルジョカージュの現代的な振付がスパイスをプラスし、まるでオペラ座の理想的な1シーズンを凝縮したようなAプログラム。これは見逃せない。

 Bプロの『マリア・カラスへのオマージュ』は目下、パリで創作が進行中である。ワーグナー熱から『トリスタンとイゾルデ』『ヴィーゼンドンク組曲』を生み出したG ・マンチーニ。今回は、彼のその歌声が心を捉えて離さないマリア・カラスをテーマにし、8名全員が参加する作品だ。心理描写を歌い上げる彼女のベルカントと表現力豊かなオペラ座のダンサーたちのぶつかりあいから生まれるシナジー効果が、観客の心を震わすに違いない。

 この作品と組み合わされているのは、やはり音楽が創作の重要な鍵を握るバレエ作品として知られるジョージ・バランシンの『ジュエルズ』。優美なフレンチ・スタイルで踊られる’’エメラルド’’は仏作曲家フォーレの、壮麗なロシアン・スタイルで踊られる’’ダイヤモンド’’は露作曲家チャイコフスキーの曲が使われている。2018年のオペラ座再演の際にファーストキャストに選ばれたアマンディーヌ・アルビソンとユーゴ・マルシャンが、この公演でも’’ダイヤモンド’’ のパ・ド・ドゥを踊る。Bプログラムもまた必見の豪華さなのだ。

 バレエの舞台を見慣れている人もいない人も十分に楽しめる心憎いまでの両プログラム。
世界最強のガラを見に行こう。

(在パリ・ジャーナリスト 濱田琴子)
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